仮想プライベートネットワーク(VPN)の検証方法

VPNサービスに対して一連のテストを行い、宣伝通りの安全性、使いやすさ、速度なのか見極めます。

VPNの評価では、次のようなカテゴリに注目します。

カテゴリ概要
  • 5% - 購入・ダウンロード
  • 10% - インストール・設定
  • 25% - セキュリティ・プライバシー
  • 15% - 全体の速度
  • 15% - 追加機能
  • 10% - サーバー地点・オプション
  • 10% - 料金
  • 10% - カスタマーサポート・返金
1. 購入・ダウンロード

1. 購入・ダウンロード — 5%

VPN企業が提供している最も多機能のプランに加入します。支払い段階では、購入するために個人情報をどれだけ提供しなければならないか、仮想通貨など匿名の支払い方法に対応しているか確認します。

メールアドレスと支払い情報だけでアカウント登録できるはずですから、VPN事業者がそれ以外の個人情報を要求した場合、正当な理由があるか吟味します。

加入後、システム要件を読み、公式サイトからインストールファイルをダウンロードします。

VPNに加入し、ダウンロードした体験をもとに10点満点で評価します。このスコアは、最終スコアの5%を占めます。

2. インストール・設定

2. インストール・設定 — 10%

この段階では、Android、iOS、Windows、Macなど、幅広いシステムにVPNをインストールしていきます。インストール作業を注意深く観察し、VPNを各デバイスにインストールする難易度を調べます。

VPNを正常に使えるよう、インストールが完了したらアカウントにログインして必要に応じて設定を調整します。

VPNプログラムが使いやすいか、専門知識の有無によらずプログラムの使い方がすぐに理解できるかなどを検討します。

各製品を実際にインストールし、設定した体験をもとに、10点満点で評価します。このスコアは、最終スコアの10%を占めます。

3. セキュリティ・プライバシー

3. セキュリティ・プライバシー — 25%

一連のテストを行い、閲覧履歴やIPアドレスなどの個人情報が確実に保護されるか、VPNのセキュリティ機能に脆弱性がないか徹底的に検証します。

評価項目の例

  • VPNプロトコル — 各製品で利用可能なVPNプロトコルに注目します。OpenVPN(UDP)やOpenVPN(TCP)、IKEv2、WireGuardのほかに、VPNプロバイダ独自のプロトコルの有無も調べます。
  • 暗号化 — ユーザーのブラウジングデータを読み取れなくするためにVPNが採用している暗号化方式の強度と機能性を検証します。
  • 難読化・政府の規制の回避 — VPN通信を隠せるか、VPN通信をブロックする政府のファイアウォールを回避できるか実験します。
  • DNS漏洩の防止 — さまざまな漏洩テストを行い、VPNを使用中にデータやIPアドレスが漏洩しないことを確かめます。
  • IPv4とIPv6の公開 — VPNがIPv4アドレスとIPv6アドレスの両方を難読化するか評価します。
  • VPN企業のログ方針 — 各プロバイダのログ方針を詳しく分析し、主張通りユーザーデータの保護に取り組んでいるか調べます。

セキュリティを検証後、10点満点で評価します。このスコアは、最終スコアの25%を占めます。

4. 全体の速度

4. 全体の速度 — 15%

VPNを使うとネット通信は少し遅くなります。ネット通信を中間サーバーに転送し、暗号化するのに時間がかかるからです。

検証では、VPNの全体的な速度を明らかにするために、一連のスピードテストを行います。VPNに接続する前と後で速度を比べ、低下率を算出するのです(地点の異なる多くのVPNサーバーに接続します)。

VPNの速度の評価項目

  • ローカルサーバーの速度 — レビュアーに近いサーバーのダウンロード速度とアップロード速度。
  • 国際サーバーの速度 — 世界各国のサーバーのダウンロード速度とアップロード速度。
  • Ping値 — ネットワークホストに到達するまでの時間。
  • ストリーミング速度 — HD画質で動画をストリーミングした体験(バッファや障害、妨げなどがないか)。
  • P2P速度 — P2Pファイル共有やトレントのダウンロード速度とアップロード速度。

一般的に、高性能VPNは速度に少ししか影響しません。近くのVPNサーバーに接続してもダウンロード速度が10%以上低下しなければ、とても優れたVPNであると評価します。一般的に、どのサーバーに接続しても速度が50%以上低下しなければ高性能VPNです(速度低下率はサーバーとの距離に比例します)。

検証後、スピードテストのデータを集計し、10点満点で採点します。通常、アップロード速度やping値よりもダウンロード速度を重視してスコアを計算しますが、ゲームやトレントなどの特殊なケースでは適宜考慮します。このスコアは、最終スコアの15%を占めます。

5. 追加特典 — 15%

VPNの検証では、各社VPNが提供している追加機能とその性能も検討しています。次のような機能に注目します。

  • スプリットトンネリング。一部のデータだけVPN経由で送受信し、ほかのデータは通常のインターネット接続で通信するよう設定できるVPNは高評価となります。
  • 広告ブロッカー。インターネットを閲覧する際にVPNが広告やポップアップをブロックするかどうか確認し、広告ブロック機能の性能を評価します。
  • Tor通信の可否。.onionサイトを閲覧する際、VPNを使ってセキュリティを強化できるか評価します。
  • 難読化。VPNが難読化を行うか確認します。これは、VPN通信を隠し、通常のインターネット通信に見せかける処理のことです。難読化機能があれば、制限されたネットワークでもウェブにアクセスできる可能性があります。
  • ダブルVPN。2台のVPNサーバーを通してデータ通信を行い、データを2重に隠すVPNには追加点が与えられます。

VPNの追加機能を分析した後、10点満点で評価します。このスコアは最終スコアの15%を占めます。

6. サーバー地点・オプション

6. サーバー地点・オプション — 10%

一般的に、優れたVPNは世界各国に多数のサーバーを用意しています。サーバー地点が多いほど、回線混雑が発生しにくくなり、全体的な速度やパフォーマンスにも影響しにくくなります。

また、多数のサーバーがあると、近くのサーバーに接続できる可能性が高くなり、希望する場合は地域限定コンテンツも見られるようになります。

VPNサービスが提供しているサーバーの種類にも注目します。例えば、政府のネット検閲やVPN規制を回避するための「難読化サーバー」、安全にトレントをダウンロードするための「P2P専用サーバー」、HD画質で快適に動画を見るための「ストリーミング専用サーバー」などがあるか調べます。

さまざまな種類のサーバーがあり、サーバー地点が多いVPNには高得点が与えられます。このスコアは、最終スコアの10%を占めます。

7. 料金

7. 料金 — 10%

VPNの料金について、どのようなサブスクリプションがあるのか、各プランでどのような機能が使えるのかを検討し、各社VPNのコストパフォーマンスを評価します。

また、他社の類似プランと比較し、他社より低コストなのか、それとも割高なのか判断します。

各プランの通常価格だけでなく、企業が宣伝している有効な割引キャンペーンやクーポンなども調べ、割引価格がある場合はそれがお得なのか指摘します。

VPNの料金について10点満点で評価します。このスコアは、最終スコアの10%を占めます。

8. カスタマーサポート・返金

8. カスタマーサポート・返金 — 10%

このカテゴリでは、実際にVPNプロバイダのカスタマーサポートに問い合わせ、対応を調べます。さまざまなサポート窓口があるVPNプロバイダには高得点が与えられます(メール、ライブチャット、電話、サポート掲示板、ソーシャルメディアなど)。

利用可能なすべてのサポート窓口に質問を送り、どれくらい早く回答が届くか、問題を解決するのに役に立ったかを評価します。対応が早く、役立つ内容で合った場合、カスタマーサポートは高く評価されます。

カスタマーサポートの評価は主観的になりがちです。1回問い合わせた体験をもとに評価しないよう、VPNの検証中にカスタマーサポートに数回問い合わせて、公平な評価を心がけています。

最後に、返金方針または返金保証があるか調べます。次に、返金期間中に払い戻しをリクエストし、手続きの難易度や払い戻しが届くのにかかる時間など、手続き全体を評価します。

このスコアは、最終スコアの10%を占めます。

VPNの最終スコア

VPNの最終スコアは、カテゴリごとのスコアから算出されます。

最終スコアに対する配分はカテゴリごとに異なります。当サイトでは、次のような配分で最終スコアを計算しています。

購入・ダウンロード: 5%
インストール・設定: 10%
セキュリティ・プライバシ: 25%
全体の速度: 15%
追加機能: 15%
サーバー地点・オプション: 10%
料金: 10%
カスタマーサポート・返金: 10%

各カテゴリのスコアを合計した最終スコアがVPNのレビュー冒頭に表示されます。10点中8点以上の製品は、ほとんどのユーザーにおすすめです。10点中7点前後の製品は「全体的にまあまあ良いが、より優れた他社製品が存在する」ことを意味します。10点中6点以下の場合、「検証中に多くの問題に遭遇し、現段階ではほとんどのユーザーには向かない」という意味です。