発行日: 2025年1月7日
Microsoft Teamsは十分安全ですが、セキュリティリスクが全くないわけではありません。Microsoft Teamsの使い方を間違うと、データ漏洩やフィッシング詐欺、さらにはMicrosoft Teamsが使えなくなるほど深刻なハッキングに遭う可能性があります。
この記事では、具体的にどのようなセキュリティリスクがあるのか、また、それを回避する方法について説明していきます。基本的にMicrosoft Teamsはユーザーの自己責任のもと使うものなので、セキュリティ対策も自身で行う必要があります。
セキュリティの他、ハッカー対策ができるツールはいくつかあります。例えば、多要素認証(MFA)を活用してログイン保護を強化したり、ユーザーが他のメンバーを追加できないようにすることが可能です。また、パスワードや機密データをより安全に共有できるように、1Passwordのような定評のあるパスワードマネージャーをインストールすることをお勧めします。
Microsoft Teamsの安全性は?
Microsoft Teams を使用する際には、注意すべき脅威が2種類あります。外部脅威としては、データを盗む悪質ユーザーが挙げられます。また、内部脅威としては、チームメンバーが誤って他人のパスワードを送信したり、危険なリンクをクリックしてしまったりする事態が挙げられます。
Microsoft Teamsには、このような様々なトラブルを回避できるよう、複数のセキュリティ機能が組み込まれています。例えば、多要素認証(MFA)を有効にしたり、データの送信や新しいメンバーの追加を許可するユーザーの制限が可能です。総合的に、Teamsはかなり安全に利用できるツールですが、セキュリティリスクがゼロというわけではありませんので、ある程度注意を払いましょう。
Teamsを安全に使用するためのヒントやツールに関する説明の前に、Teamsのセキュリティ機能、過去に侵害されたインシデントがあるかどうか、そして実際にどのような危険性があるのかを見ていきましょう。
Microsoft Teams のセキュリティ機能
Microsoft Teamsには、ユーザーやデータを保護するために以下のような複数の機能が備わっています。
- エンドツーエンドの暗号化:Teamsは個別通話に対してエンドツーエンドで暗号化できます。これにより、招待なしにデータを盗んだり通話を盗聴したりすることができません。
- データの暗号化:Teamsを通じて送信されるすべてのデータは、ネット上での送信時、保存時も暗号化され、メッセージ、ファイル、会議内容は確実に保護されます。
- 多要素認証(MFA):Teamsを使用する際は、Microsoft Authenticatorなどの多要素認証(MFA)アプリを使用する必要があります。Teamsではさまざまな認証アプリを使用できるため、お好みのアプリを選べます。
- 高度な脅威対策:Microsoft Defender for Office 365 は Teams と統合されており、共有ファイルやメッセージ、フィッシング、マルウェア、その他のサイバー脅威に対するリアルタイム保護を提供します。ただし、定評のあるウイルス対策ソフトほど強力ではないため、別途でウィルス対策ソフトを利用することもお勧めします。
- コンプライアンスおよび情報保護ツール:Teamsには、データ損失防止(DLP)や保持ポリシーなどのコンプライアンス機能が含まれており、機密情報の漏洩を防止し、規制基準を満たしています。
各機能は連携して動作し、Microsoft Teamsの強固なセキュリティベースラインとなっていますが、危険性がゼロというわけではありません(以下をご覧ください)。
Teamsは侵害されたことがあるのか?
答えは若干複雑で、Microsoft Teams自体はデータ侵害を受けたことはなくハッカーに暗号化を破られたこともありませんが、Teamsを採用しているサードパーティ企業に関しては頻繁に侵害を受けています。ほとんどの場合、サードパーティ企業に非・原因があります。この点を解説するにあたって、以下にいくつかの例を挙げてみました。
- Black Basta(2024年):Black BastaランサムウェアグループがMicrosoft Teamsのヘルプデスクを装ってユーザーに個人情報を提供させてログイン情報を入手しました。これは典型的なフィッシング詐欺です。
- ノーベリウム攻撃(2021年):ロシア政府が支援していると言われているハッカー集団が、SolarWindsキャンペーンの一環としてフィッシング詐欺を行い、特権を保持するTeamsアカウントを攻撃しアクセス権を取得しました。
- Pega 侵害(2021年):ハッカーがサードパーティ企業であるPega社を侵害した後、一部のMicrosoft Teamsアカウントをリークしました。その後、ハッカーはこの情報を使用して特定のTeams ユーザーを攻撃しました。
上記の通り、これらの攻撃はすべて、ハッカーが特定のサードパーティ企業を標的にしたフィッシング詐欺で、機密性の高いMicrosoft Teamsデータにアクセスした事象となっています。
Teams を使用する上での危険性とは?
Microsoft Teamsにはセキュリティ機能が備わっていますが、使用する上で注意すべき点があります。
- フィッシング攻撃:信頼性のある連絡先になりすました攻撃者が機密情報を引き出すためにユーザーをだますフィッシング攻撃に対してTeamsユーザーは脆弱な傾向があります。ノートンや
Bitdefender などのウェブ保護機能付きの高性能のウイルス対策ソフトを使用していない場合、悪質なリンクをクリックするだけで企業全体が危険にさらされる可能性があります。 - 外部ファイル共有のリスク:外部ユーザーとパスワードを含むファイルを共有する場合、特にアクセス許可を慎重に管理していないと誤って機密情報が公開される可能性があります。
- アカウントの侵害:強力なパスワードと多要素認証(MFA)を設定していないとTeamsユーザーアカウントは不正アクセスに対して脆弱となり、個人データや企業データを危険にさらす可能性があります。ハッカーが誰かのアカウントを盗んだ場合、そのハッカーはチームメンバーと同じことができるようになってしまいます。
- 潜在的なデータ保持の問題:ファイルやメッセージが保持ポリシーによって適切に管理されないと、アクセス可能な状態のままとなり機密データが適切に削除またはアーカイブされなかったりプライバシーリスクが生じます。
これらのセキュリティリスクを無視すると、自分だけでなくチームのメンバー全員のデータが流出の危険にさらされることになります。例えば、決済情報やその他の企業秘密を盗むことを目的としたフィッシング詐欺にあってしまう可能性があります。
Microsoft Teams を安全に利用する方法(役立つヒントとツール)
Microsoft Teamsを安全に利用するには、いくつかのポイントがあります。Microsoft Teamsには高度なセキュリティ機能が組み込まれていますが、ユーザーはトラブルを起こさぬよう責任を持って利用しなければなりません。Microsoft Teamsを利用する際には、以下のヒントやツールの採用を適宜確認・検討すると良いでしょう。
- 多要素認証(MFA)を有効にする:Microsoft Authenticatorのようなツールを活用して、ログイン時のセキュリティ強化を図ることをお勧めします。これにより、ハッカーがTeamsアカウントを入手した場合でも、認証アプリなしではログインできなくなります。
- 通話中にエンドツーエンドの暗号化を利用する:Microsoft Teamsでは、1対1の通話にエンドツーエンドの暗号化機能が利用できます。機密データを含む会話のプライバシー強化に最適です。
- チームメンバーが新しいメンバーを追加する機能を制限する:外部とのコミュニケーションは時として避けられませんが、通話相手を誰でも追加できる状態にしないようにしましょう。Microsoft Teamsにスパイやハッカーが侵入し、データを盗まれる可能性があります。
- コミュニケーションにはプライベートチャネルを使用する:機密情報を含むコミュニケーションには、チームメンバー専用のプライベートチャネルをTeamsで設定しましょう。これにより、機密情報を含む会話内容へのアクセスをブロックできます。
- OS・Teamsを常に最新の状態に保つ:TeamsアプリやOSは定期的に更新し、最新のセキュリティパッチを適用しましょう。通常、アプリやOSの更新プログラムは脆弱性を修正しハッカーに狙われにくくするものです。
- 不審なリンクの開封に気をつける:フィッシングリンクがチャットメッセージに表示されることがあります。クリックする前に、必ずリンクを確認してください。通常とは異なる個人情報を含むリクエストなどを受け取った場合は、送信者の身元を直接確認するようにしましょう。
- チームメンバーにネットの安全な利用方法について研修する:チームメンバーには、Teamsの使用方法、疑わしいリンクの回避方法、トラブルが発生した場合の対処方法等について、教育を欠かさぬようにしましょう。
- パスワードマネージャーを使用する:Microsoft Teams上でのパスワード共有は、高性能なパスワードマネージャーで共有するのに比べてセキュリティリスクが高まります。1Passwordなどのパスワードマネージャーは、パスワードを暗号化して保管するデータ保管庫があり、Teamsよりもアクセス制御をより細かく設定できるシンプルな共有機能等も提供しています。
- 定評のあるウイルス対策ソフトをインストールする:高度なウイルス対策ソフトには、2大保護ツールであるフィッシング対策とマルウェアスキャナが搭載されていますから、Microsoft Teamsをしっかり守れます。前者はオンライン上の悪意のあるリンクや添付ファイルの開封を阻止し、後者はスパイウェア、トロイの木馬、その他の破壊的なマルウェアからコンピュータを保護します。
- VPNを使用する:仮想プライベートネットワーク(VPN)は、ネット上の送受信データをすべて自動的に暗号化しますので、ハッカーが通信を傍受するのを阻止できます。VPNは通信速度を低下させる可能性がありますが、ExpressVPNのような高性能VPNなら、かなり高速なので快適に通話できます。
編集者から:ExpressVPNおよび当サイトは同じ企業グループに属しています。
よくある質問
Teams上でのパスワード共有は安全ですか?
Microsoft Teamsやその他のコミュニケーションツール上でのパスワード共有は、一般的に安全とは言えません。Teamsのメッセージは暗号化されていますが、パスワード共有にはリスクが付きもので特にアカウント情報やメッセージ履歴が他人にアクセスされた場合は危険です。ハッカーはパスワードを直接盗む以外にも、パスワードの共有相手を経由して盗むなどといったことがあります。
しかし、高性能なパスワードマネージャーを使用すれば簡単にパスワードを守れます。例えば、1Passwordにはパスワード共有機能が内蔵されており、パスワードが誤った手に渡るリスク等を大幅に軽減できます。
Microsoft Teams経由のフィッシング詐欺を回避するには?
Microsoft Teams経由のフィッシング詐欺を回避するには、送信者(不明の送信者ではないか)、文法の誤り、不審なリンク、機密情報の入力を求める緊急メッセージなど、疑わしい点がないかを各項目を必ず確認しましょう。
フィッシング詐欺は信頼できる発信者を装っていることも多いため、不安な場合は送信者の身元を確認するようにしましょう。Microsoft Teamsには、疑わしいメッセージをフィルタリングするセキュリティ機能が組み込まれていますが、常に注意を怠らないことが重要です。アカウントのセキュリティを強化するには、多要素認証(MFA)を使用し、ノートン(Norton)のウイルス対策ソフトが提供するWeb保護ツール等をインストールしましょう。
Microsoft Teamsは侵害された事例はある?
Teams自体が侵害されたことはありませんが、Microsoft Teamsのアカウントを使用しているサードパーティ企業は侵害された事例が確認されています。例えば、ハッカーが企業のMicrosoft Teamsアカウントを盗んで、その従業員になりすましデータを侵害したり、情報を外部に漏洩したりするなどして、企業に被害を及ぼずようなケースがあります。
Microsoft Teamsをより安全に利用するには?
Microsoft Teamsのセキュリティを強化するには、以下の簡単なステップを踏みましょう。
- 多要素認証(MFA)を使用する:多要素認証(MFA)を有効にして、アカウントのセキュリティ対策を強化します。
- ゲストアクセスを制限する:特に機密情報が関係する場合は、会議への参加や共有ファイルへのアクセスを制限しましょう。
- アプリは最新の状態を維持する:更新には重要なセキュリティパッチが含まれることが多いので、Teamsアプリを最新の状態に保つようにしてください。
- 機密データの直接共有を避ける:Teamsメッセージでパスワード、クレジットカード情報、個人情報を直接共有することは避けるようにしましょう(追記:パスワードマネージャーを使うと安全性を大幅に向上できます)。